秋田の旬

【ふくたち】(3月上旬〜4月上旬)
ふくたち画像
 「ふくたち」という野菜をご存知でしょうか?(地元では「ふくだち」とも言います)なんとも耳に優しい響きのネーミングですね。「福立ち」と、おめでたい漢字をあてる説もあるこの野菜は、秋田県南部に位置するJAうごで栽培され、出荷期間は春先の3月上旬からほんの1か月ほど。しかも出荷先は横手市と秋田市がほとんどです。
 さて、このふくたち、スーパーの店先に並んでいるところは、まるで小型の白菜のよう…。そう、ふくたちの正体は白菜をとう立ち≠ウせたものなんです。
 
ふくたちを収穫する藤原さんご夫妻
(ふくたちを収穫する藤原さんご夫妻/
朝方の冷え込みによる凍結を防ぐため
夕方に収穫し翌日JAへ出荷します)
 秋に収穫する白菜をそのまま畑に残しておくと、やがて雪に埋もれてしまいますが、雪の下で種を残そうと葉の中に芯(花芽)を作り、茎を伸ばします。この状態をとう立ちといいます。とう≠ノは栄養がぎゅーっと凝縮されて蓄えられ栄養満点。県南部では食糧が乏しくなるこの時期、先人の知恵として、昔からとうを食べてきたのだそうです。県内でも屈指の豪雪地帯ならではの食文化です。
 今回ご紹介する羽後町新成地区の藤原長蔵さんは、奥様の良子さんとともに、ふくたちをはじめ、こまつ菜・チンゲンサイなどの葉物野菜や、ストックなどの切花など、いろいろな作物を栽培しているベテラン農家です。取材にうかがった3月13日は、朝から吹雪が吹き荒れる真冬日でしたが、ハウスの中ではとう立ちしたふくたちが小さなつぼみをたくさんつけていました。寒さにあたり寒締めされると、栄養と甘さが凝縮されて、独特の歯ごたえを持った野菜に育つのだそうです。
菜の花に似たふくたちの花 小型の白菜のようです 小さなつぼみをたくさんつけています
(アブラナ科のふくたちの
花は菜の花と似ています)
(小型の白菜のようです) (小さなつぼみを
たくさんつけています)
 3月上旬、秋田市内の量販店でふくたちの試食宣伝会を開催したそうですが、JAの担当者をはじめ生産者自らが参加してPRしたふくたちは、売れ行き好調。用意した500袋はすぐに売り切れてしまったそうです。試食用に準備したという良子さんご自慢の「一夜漬け」も、売れ行きに大いに貢献したに違いありません。取材時にごちそうになりましたが、生姜がほんのり香り、しゃきしゃきとした歯ざわりがさわやかな逸品でした。長蔵さんは晩酌のおともにしているそうです。湯がいても目減りがなく、とても鮮やかな黄緑色になるふくたち。生のままサラダにしてもおいしそうです。
≪良子さんのふくたちレシピはこちらからどうぞ≫
 現在、新成地区13戸の農家が、2,000坪(66アール)でハウス栽培しているふくたち。その昔、ひばりがたくさん巣を作っていたところから「ひばり野ふくたち」の名前で出荷されています。出荷が始まった昭和50年代後半に比べると、すっかり知名度もアップし、春を告げる野菜として県内のスーパーに並んでいます。
JAうご営農担当の高橋さん 長蔵さんのストック
(JAうご営農担当の高橋さん)
(長蔵さんのストックは、平成16年の県種苗交換会で県知事賞を受賞しました)

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